いとなみ研究室

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有限会社 島原種苗

32歳で事業継承 関西出身の河原社長が島原の地で始めた新たなる挑戦

取材・写真

取材

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種苗を始めたきっかけ

現在たくさんの養殖を手がけている河原さん。この事業を始めるきっかけが気になるところ。関西出身だが、社会人になって福岡・松浦市へと勤務地は変わっているものの、島原とは縁もゆかりもない印象を受ける。島原種苗を始めるきっかけはどのようなものだったのか。

河原社長 以下河原:松浦市で勤務していた時、仕事の繋がりで島原で魚の種苗業を経営をしている方から、後継者がいないからやってみないかという言葉をもらったのがきっかけでした。

その時河原さんは何歳の時でいらっしゃいますか?

河原:32歳の時ですね。

32歳ですか!?かなり思い切った決断を若くしてされたんですね。

河原:いやいや当然その時勤めていた会社の社長にも相談しましたよ。そうしたらそんな簡単に成功するわけないじゃないかと言われましたし、他にも種苗をされている方にも相談に行きましたが、やめておいた方かいいと言われました。たくさんの方と話をしましたが、ほとんどの方は反対する声しかなかったですね。

そんな状況の中、なぜ事業を継承しようと考えたんですか?

河原:色々と相談する中で、面白い女性の友人がいましてね。その友人に話しをしたら、おもしろい話だねそれと。反対されると思っていたのであれ?っと思っていたら、彼女はこう続けたんです。河原くんこの話しチャンスだと思う?河原くんの人生の中で、これと同じくらいのチャンスはあと何回あるかな?と言うんです。さらにそれってもうやりたい仕事なんでしょう?と。この言葉はかなり勇気を貰える言葉でしたが、まだ心配もありました。事業をするにはお金も必要です。銀行に融資を受けて失敗したらどうしようとも考えました。そうすると彼女はこう続けました。銀行から3000万円借りて事業失敗したとしても、セルシオ(当時)2台分くらいじゃない。なんとかなるでしょ。そのくらい。この友人との会話が人生のターニングポイントになったと思います。おかげで、よしやろうとなったわけです。

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逆境をチャンスへ

大きな決断をして事業継承した河原さん。ただ初めから順調とはいかなかったようだ。養殖していた魚がうまく育たなかったなど、苦労を重ねてきた。その苦労の最中河原さんにとって次なるターニングポイントを迎えることになる。


河原:なかなか稚魚生産しても思った様には販売をする事が出来ないでいたんですよ。当然生産した稚魚が余ってしまうんです。死んでしまえば元も子もないのでその魚を歯切りして販売できないか様子を伺っていたんです。限られた人数で。そんな中、養殖業者の導入した稚魚が海の異変があって病気などで魚が死んだりしていて稚魚を探していたところ、うちに相談が来まして歯切りをしていた稚魚4、5万尾が完売しその稚魚がその後の成績も非常に優秀で今の島原種苗の原点を形作った出来事であったと思います。そしたらお客様も良かったと満足していただいて、そこから毎年ある程度まとまった注文が入るようになったんですよね。

そんなに歯切りすることで違いってあるんですか?

河原:もちろん違いますよ。トラフグの養殖に関しては、何より魚がイライラしてないしね。

魚がイライラしてるとかあるんですね笑

河原:まあ長年やってると分かるんですよ。あと何より他の稚魚屋さんはやっていなかった作業なんで、これが大きな武器になりましたね。後から取引先の人から聞いた話しなんだけど、島原種苗は歯切りして出していると評判になってたみたいでね。今では外国人の従業員さんでもやってる作業ですけどね。ここ三年くらいだけど、外国人の子にも教えたらできるんじゃないとなって教えたら、日本人より上手いんじゃないかと言うレベルになってますよ笑

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今出来ることを一つ一つ丁寧に行なってきた積み重ねが、放流活動にも大きな影響を与えているという。

河原:福岡県のトラフグ放流事業に協力させてもらってますが、もともと歯切りされていない魚を6cm〜7cm程に育ててから放流していたんです。尾びれとか欠損してない綺麗な状態で放流できるとなって注文が入り始めたんです。水産試験場の研究で歯切りした尾鰭の欠損がない魚とそうでない魚の放流効果に差があるというデータも出たんです。そこから毎年放流事業がいただけるようになりました。

歯切りをきっかけに多くの方から注文を頂けるようになったが、当然この作業は一つ一つ手間がかかるもの。大変ではないのか?

河原:当然手間はかかります。ただこれは仕事なんですよね。稚魚を育ててボロボロになって死んでいく魚がたくさん出ることも損失だし、生き残ったとしてもその魚が傷ついた魚だったら出荷もできないし、仕事として綺麗ではないよね。自分でも歯切りを始めて気づいたことなんだけど、コツコツして手間がかかる仕事だけど、逆に効率がいいんですよ。歯切りすることによって綺麗な魚、傷ついた魚って選別する作業も減る。結局この手間が近道なんだと気づいたんですよね。

歯切りという手間のかかる仕事を近道とすることで、少しずつ歩んでこられた道のりだが、今後に向けてもへの想いも語って頂いた。

新しい取り組み


河原:私自身この地で育ったわけではないんだけど、この地で仕事をさせてもらっている。だからこの地にも貢献したいし、生産者という立場で仕事をしているけど、顔が見える事業へと発展させて行きたい。それを私が普段からお世話になっている生産者と共に。

その思いが工場を作ろうということに繋がったんですね。

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河原:そうですね。例えばこれから若い世代にこの業界に関心を持ってもらい、担っていってもらわないとこの業界は無くなってしまいますよね。生産者が商品まで作って消費者の方にお届けすることで創意工夫をできる仕事を考えていかないと担い手がいなくなると思います。これは今まで私が水産業界にいて色々と経験してきた中で感じたことです。だからこそこれからは、そういった取り組みを行うことで、面白い商品を開発していき、いろんな方と協力しながら盛り上げていきたいなと考えています。

そういった商品を色々なところと協力し作っていくのは面白そうだと感じた。こういった取り組みを通じて地域への貢献にも繋がってもいくだろう。

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今回の取材を通して事業継承をして多くの苦労を乗り越えここまで辿り着けた河原さんだが、その丁寧な受け答えからも感じ取れる誠実さが非常に心撃たれるところだった。歯切りの話しもそうだが、何か他の人がやっていないことをやろうということではなく、お客様に良い商品をお届けする為に、一つ一つ手間のかかることでもやろうという誠実さがお客様に伝わり、今の島原種苗があるのだと感じた。取材の中には掲載できていない様々なお話しもあり、この場で紹介出来ないことが残念だ。ただ新工場設立などまだまだ活動の幅を広げていく河原さん。今後の河原さんの活躍に期待しながら、是非目の前に綺麗な海がある島原種苗に足を運んでみてはいかがだろうか。

会社情報

会社名:
有限会社 島原種苗
所在地:
〒859-2411 長崎県南島原市南有馬町甲1213
Tel:
0957-85-2112
Website:
https://www.fukunotane.net/

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