いとなみ研究室

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上田皮ふ科

完全予約制で、心に寄り添った治療を。【上田皮ふ科PΛΛK】のアトピー性皮膚炎に対する思い

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「アトピー性皮膚炎」。皮膚のバリア機能が低下し、さまざまな刺激で炎症が起こる慢性疾患だ。

いま国内には50万人の患者がいて、その数は年々増え続けているそう。一回の治療で完治するのは難しく、長期にわたって適切な治療を続けていくことが、病気とうまく付き合うカギとなる。しかし「アトピービジネス」という言葉もある通り、根拠のない治療を提供する非医療機関施設なども散見され、社会問題となっている。

上田院長「アトピーは、10代~20代の若い患者様が多いのですが、SNSで発信されている間違った情報に、真面目な方ほど惑わされてしまいます。私もたまに目にするんですが、根拠もないめちゃくちゃな情報が未だに飛び交っています。」

 大村市のクリニック「上田皮ふ科PΛΛK」では、正しい情報を多くの方に届けようと力を入れている。それでもなお患者さんの中には、病院を受診せずにドラックストアなどの薬で解決しようとして、誤った治療により悪化した状態で受診される方もいるそうだ。

「より多くの場で情報発信をしていきたい」という上田 厚登(うえだ あつと)院長の想いを引き受けて、今回はこの記事で病気について発信していこうと思う。

患者様からの「ありがとう」が私たちの幸せ

「病院は1日にたくさんの患者さんを診なくてはいけないので、どうしても診療時間を充分に取ってくれないところもあります。診療にいくら時間をかけようが、報酬は変わらないんです。ですが、そのせいで医師と患者がすれ違ってしまう。日本皮膚科学会の調査によると、患者さんは『生活への影響や、辛さを理解してくれなかった』『医師からの十分な説明がなかった』と、不満や不安を感じるんですね。これが、重症度を問わず最大の不満原因となっています。」

 医者側が患者の状態をしっかりと理解しないまま治療を施してしまうことで、お金がかかるばかりで効果が感じられなかったり、逆に症状が悪化することも。さらに、体だけではなく心にもストレスを抱えている患者さんがいるなか、その辛さに気付けないこともあるという。

 「アトピーって皮ふだけの病気じゃないんですよね。かゆみが原因でよく寝れなくて心が不安定になることもありますし、見た目に悩まされて外に出ることができず、ひとりで悩んでうつ病になったり。医者側から見たらたいしたことないように思えても、実はすごくストレスを感じられてる患者様もいらっしゃいます。体だけじゃなく、心にもアプローチをしていくことが大切です。」

そんな上田先生が見せてくれたのは、人間の「欲求の種類」について。

「何より快適な睡眠が大事だ」という”生存”の欲求や、「買い物を楽しみたい」という”自由”の欲求。患者さんにとって、優先したいことはなんなのか。単なる治療法だけでなく、なんのために治療に取り組むのかという「目的」についても理解することで、一人一人の心に寄り添った治療を目指す。

当院では、完全予約制で15分前後の診療枠を確保し、治療歴を整理しながら個々のゴールを設定。精神科医も在籍しており、メンタル面のサポートも提供している。その行き届いたサービスが評判で、県外から来院される方もいらっしゃるそうだ。

 「アトピーの治療は、ひとの人生を変えると言ってもおかしくはない。学校にいけないことで将来の幅も狭まってしまうとか、結婚、就職など、すこしでも人生に作用してきますよね。なので、私たち医者側はもっと真剣にならないといけないと思っています。」

医者であり、患者でもある立場として

医療技術の進歩により、今では症状に合わせて様々な治療方法が選べるようになった。なかでも画期的なのが、「デュピクセント」という注射薬。昔は治らなかった重度の症状でも改善が期待できるそうだ。

しかし、価格が高いこともありなかなか決断ができない患者様も。そういったときは、時間をかけてゆっくり対話をしていき、患者さんの心に寄り添った声掛けを意識しているという。

 「はっきり言って、医者側が説得する必要はないんですよね。怖いからしたくないって言われたら、そうですか、でいいわけなんですけど。でもそこで、もし自分が患者様の立場だったらとか、自分の子供だったらどうするかと考えて、やったほうがいい人にはやったほうがいいと、しっかり伝えます。」

また、上田皮ふ科では新しい治療法の1つとして、「kanpo」という入浴剤を提案している。院内にて手作りで作られるため、新鮮な「生」の漢方だ。これを浴槽に入れてお湯につかることで、強くて潤いのある肌になるという。しっかり入浴して体を温め、夜間のかゆみを減らすことで、睡眠の質が上がる。店頭にて販売中だ。

 他にも上田皮ふ科は、ホームページや公式SNSなどで医師監修コラムや、動画で最新治療を解説するなど、アトピー性皮膚炎患に役立つ情報を発信している。治療体験シェアや交流イベントなどを開催する「人形町アトピーカフェ」や、新薬への不安や疑問をリアルタイムで相談できる、LINEコミュニティアトピー治療 新薬ユーザーの会」というものまで。その情報発信の数から、「一人でも多くの患者さんへ届いてほしい」という想いが伝わってくる。

「実は、私も幼い頃アトピー患者であり、喘息患者でした。そして今も治療を続けています。小さいころは親が色々と苦労しているのを子供の立場から見て育ちました。医者でありながら、患者の気持ちも理解できる立場として病気と向き合っていきます。治療は長期戦だからこそ、一方的に押し付けることなく、共通のゴールに向かって寄り添って伴走していくことを大事にしています。」

 患者と医師、両方の気持ちが理解できる立場として、できることは全力を尽くしていきたい。悩みを抱える患者様やその周囲の方に正しい情報を届け、笑顔になってほしい。そして、患者以外の方にも病気のことを理解してもらうことで、みんなが生きやすい社会をつくりたいと語った。

会社情報

会社名:
上田皮ふ科
所在地:
長崎県大村市小路244−7
Tel:
0957-47-6707
Website:
https://uedahifuka.com/

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