【大村市 cafe universal】 笑顔のプレゼントを届けよう大作戦 第一弾・X’Mas フェス

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2024年12月22日、日曜日。鈴の音が聞こえてくるシーズンの中、「café universal」にもクリスマスがやってきました。

上田皮ふ科の院長であり、福祉事業「一般社団法人 Palette」の代表でもある上田厚登さんが立ち上げたこのカフェでは、健常者の方と、障がい者の方が一緒に働いています。“障がいのあるなしにかかわらず、みんなが一緒になって働ける場をつくりたい”という想いに共感した店長の山口さんは、以前グループホームで働いていました。そのとき感じた”福祉業界の課題”が、今回のイベント開催のきっかけになっています。

山口さん 利用者の方は、障がいがあるから、できる仕事の幅が限られてくるんだろうかとか、将来について不安や悩みを抱えてらっしゃるんですよね。実際に、安い工賃で、きつい仕事を仕方なくさせられている人たちもたくさんいます。その人たちが楽しんで、生き生きとおしゃれなところで働ける働く場をつくりたいという上田理事長の想いに賛同しました。まずはこのカフェの存在を知ってもらって、こういう場で働くこともできるんですよと伝えたくて、今回のフェスを開催したんです。

そんな想いから生まれた「フェス企画」。第一弾は、「クリスマスフェス」を開きました。太陽も味方につけ、オーシャンビューの室内に訪れたみなさんの心はウキウキ。自慢のホットサンドをはじめ、以前記事でご紹介した「麹の腸活ポタージュスープ」やレモネード、スムージーで、まずはおなかを満たします。

特別試食会として提供した「チキンのジャポネライス」(ライスの上にクリームソースをかけたフレンチ料理)は大好評だったようで、これから定番メニューになるのかも…? 他にも焼き芋や、野菜の詰め放題など、通常の営業にはないちょっぴり特別なサプライズも用意しました。

今回は、グループホーム利用者の方を中心に招待していたそうです。当日は家族総出でお越しくださり、たくさんの笑顔があふれる空間になりました。

山口さん やってよかったなって。こういう場所があるんですねって言ってくださる方とか、ずっと気になっていたんです、来てよかったですっていう声をたくさんいただいて。こうやってイベントを通して少しでもたくさんの方に広まってくれれば、やる意味はあったのかなって思います。

来てくださった方を明るく迎え入れ、明るくお声掛けをされている姿が印象的な山口さん。「人とのつながりを大切にしたい」という想いを胸にお店を運営しているそうですが、オープンしたばかりの頃は、なかなか追いつかないこともあったそう。店主としてこれまでの道のりをこう振り返ります。

山口さん 始めたばかりの頃は、慣れない業務に戸惑いや不安を抱えていました。ですが次第に自分たちのオペレーションスタイルができていき、念願であったキャストさんを迎えることができました。上田理事長や黒岩代表の「焦らなくて大丈夫ですよ」の言葉と温かい見守りのお陰だと思っています。これからは次のステップにチャレンジして、キャストの皆さんと一緒にユニバを盛り上げていきたいという気持ちです。

 障がいをもつキャストの皆さんは、定休日に掃除をしたり、ドリンクカップにシール張りをしたりなど、カフェスタッフの一員として生き生きと働いています。カフェ内にも、グループホームの利用者の方が作ったスマホショルダーやストラップなどを販売。「誰かの役に立つことで、生きる意味を感じてほしいです。」と山口さんは言います。

山口さん イベントに出たりもしているんですけど、少しずつ接客のお手伝いもしてもらっています。接客に苦手意識がある方でも、いろんな人と接するのは割と好きなんですよね。自分たちが作った作品を、かわいいね、すごいねって直接褒めてもらえるのは嬉しいですから。

今回のイベントの目的は、障がいがあってもなくても、誰でも自分のやりたい仕事で働くことができるということを知ってもらうこと。”可能性を狭めることなく、将来に前向きになってほしい”というメッセージを伝えたかったのです。

山口さん グループホームで働いていたときに感じましたが、テレビに出てくるケースはごくわずかで、苦しんでいる方は身近にたくさんいらっしゃいます。重度の障害だからと働くことを諦めたり、支援をもらうだけしかできないことに不安を感じたり。障がいがなくても、家庭環境に悩んだり、自分で自分を傷つけてしまう方もいらっしゃるので…。

生きづらい思いをしている方を見てきたからこそ、叶えたい世界がある。もっとより多くの方にカフェの存在を知ってもらうべく、これからは春夏秋冬のシーズンごとにフェスを開催していく予定だそうです。

山口さん みんなが生きやすい社会になればいいなと思っています。このカフェが、沢山の笑顔で溢れる場所であれるように。そして、人と人とが出会い、繋がる場所でありたいです。