いとなみ研究室

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有限会社 島原種苗

友達の友達がきっかけで氷博士となったエンジニア、井筒伊雄さん

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取材・文

元々井筒さんの両親は全くものづくりに関係のない職種だったが、幼い頃からものづくりが好きだった井筒さんは、高校卒業後大阪の大学へ進学され精密工学系を専攻して学んだ。

井筒さん:最初の就職先は広島にある建築金物のメーカーで日本トップクラスのところに就職して、そこで十数年研究開発をやってた。具体的には営業の人とかがこんなの作って欲しいってものや、研究を重ね特許とかとったり一から色々なものを作ってた。一番印象に残ってるのが、コンクリートの梁があるでしょ?天井に。元々の設計ってのが何も穴もあいてないないんだけど、配管、水道とか電気とか通さないといけない時に穴が開くじゃない。穴があくと強度が落ちる。それを補強するのに昔は鉄筋のエックス筋ってのでやってたんだけど、耐震設計の基準が厳しくなってエックス筋をめちゃくちゃ入れないといけなくなったんですよ。そうすると鉄筋が邪魔して中にコンクリートも入っていかなくなって施工が難しくなった。それが鉄板を入れるだけで元の強度が出るっていうのをやったことかな。

 

この研究開発してできた技法は、大臣認定を取り、大学を出たあとは開発者をずっとやってたと話す。

氷を作るきっかけ

現在井筒さんは氷にかなり詳しくなり、製氷機を開発されている。開発のきっかけが経営セミナーに行った際に出会った友達の友達が言った一言が今現在のお仕事に繋がる。

 

井筒さん:友達の友達がスキーグッズ販売の営業をやっててスキー場に行ってたんだけど、温暖化が進んでだんだん雪が降らなくなってた。スキー場は大体2月中旬くらいまで雪がないと利益が減っちゃうわけだよね。そんな中営業に行った友達が「用具はえぇけ、雪持って来い」って言われたわけですよ(笑)

その一言がきっかけで氷に関しての仕事へ就くこととなる。

井筒さん:そいつはアイディアマンで、色々考えて埼玉のスキー場に距離は短いけど、氷を砕いてゲレンデを作った人がいて、それをたまたま友達の友達が見て、僕が技術系のお仕事をしていたんで「ちょっと雪作れんか」となったの。

ただ井筒さんはこの頃しっかりとした会社に勤めていたので、友達からの誘いを約1年間断り続けていたと話された。ただ勤めている会社もマンネリ化していて、新たな挑戦を試みるもなかなか会社には協力が得られず転職を決意する。

転職後の出来事

氷の塊を雪のような細かいものにするべく試行錯誤を繰り返し、ハプニングも経験しつつ営業は自ら飛び込みでされてた井筒さん。そんなパワフルな井筒さんは次なるチャレンジを試みる。

井筒さん:すごいパワーを使ってクラッシュしてやるユニットを最初は製氷工場でやって空気で船とかには送ってるんだけど、貯氷庫を作ってそれをまくってことを一番最初広島でやった、次が群馬でやったかな。

そんな中営業で出会った東武鉄道さんに「東武鉄道のオープン日一番になれ」との一言で一番を目指すこととなる。

井筒さん:1番になるために雪を撒かないといけなくて谷川岳って凄いロープウェイがあってその頂上付近にゲレンデがあるんだけど、工場を建てるのに道がなかったりするから、3トンまで持ち上げられるヘリで全部機材を運んだ。下から上まで1キロくらいある距離を分岐で雪を撒いて行く作業が続いた。

そんな中でもハプニングはつきもので分岐に雪が詰まり、1箇所詰まると分岐全部が詰まるなどそれを解決するために試行錯誤が続いた。

井筒さん:工場作ってまくのも大変だなってなってそれは貯氷庫にためて割と一気にまいてるんだけどゲレンデにまいても溶ける以上にまけばゲレンデになる。今度直にゲレンデにまく、直に貯めずに作った雪をそのまま作ってユニットでいっこ25トンのを2個作って50トンのを作った。それでゲレンデに雪を撒いて行って気休めだけど銀色のシートで覆っていくわけです。北海道大学の研究所で融雪シミュレーションっての作ってどれくらいまけばいいかってのをやって、シミュレーションだけでも1500万とられるんだけどそれをもとに何台つけるかやる。だいたい溶ける以上に撒こうと思ったら12月の頭とか、クリスマスまでにはオープンするとなると約1ヶ月前からまかないといけない。

「溶けるから24時間ね(笑)」

 

24時間体制での管理なのでそれなりの人件費やびっくりするほどの電気代を使いながらなんとかオープンまで持って行かれた。ただ完成してしまうのには3年かかり、それが1996年〜1997年頃に開発され今でもまだ軽井沢で現役で動いていたり36箇所入ってると話す。ここまででもかなり凄い開発をされてきたことが伺えるが更に面白い経験をしたと語った。

井筒さん:面白かったのがフランスのグルノーブルへ持っていってワールドカップのハーフパイプがあるってことで街中に同じようにその時軍隊を使ってうちは機械を持って行ってコースを作った。そのまま撒くと溶けるのが早いから四角のブロックにする機械を使って置いておく、それで最後に撒く。それでコースは完成してさあ明日って時に社員が飛んできて燃えましたって、、、

コースの断熱に藁を使っていてそこへグラインダーから火が散たことが原因とのことだが、「まぁ雪は作れるし、軍隊に山へ行ってもらって開催させた。こんなハプニングでさえも今となっては笑い話と」話された。こんな経験を積みながら氷にはかなり詳しくなり現在お勤めのMARS Companyとの出合いに繋がる。

これからのこと

株式会社MARS Companyへ勤められて一度転職したが、約5年前に戻りトータルで行くと10年ほどだと語った。現在はマイナス20℃の温度を保持できる急速冷凍DIPSを開発されている。また昔からマックのパソコンが好きだとのことで大体のことはできると語った。

井筒さん:昔イラストレーターとかなかったから、ソフトとかもいじれるようになった。今ではプレゼン、キャド、3Dができたりするから自分で考えて自分でプレゼン資料作ったり、企画書とかも全部自分で作ってるよ。

プレゼン資料を実際に見せてもらったが、そこに登場するキャラクターも作られていて青い雪だるまみたいなキャラクターがサングラスをしていて井筒さんをぎゅっと詰め込んだかのような素敵なものだった。そのほかの取り組みとしては、環境問題で再エネと言われるものに取り組まれ、捨ててしまうエネルギーを氷の技術を活かして再生できるような研究開発を進められている。

井筒さん:まぁこの開発が実現する頃に俺がいるかわからないけど、次の世代のやつがやってくれるといいな(笑)

井筒さんの取材をして、「すきなこと」をいとなみにできている人は魅力に溢れているし、何よりも好きだからこそどんな逆境にも前向きに考えられる強さがあると感じた。今後も更なる挑戦を続けられる井筒さんから目が離せない。

 

ひと記事に関しては下記をご覧ください。

幼い頃からものづくりが好きな、謎多きエンジニア井筒伊雄

 

 

 

 

 

 

 

会社情報

会社名:
有限会社 島原種苗
所在地:
〒859-2411 長崎県南島原市南有馬町甲1213
Tel:
0957-85-2112
Website:
https://www.fukunotane.net/

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