種苗業から刺し盛りを。団欒のひとときに、おいしい福を届けます。
舞台は長崎県南島原市。島原半島の南の果て、美しい有明海と山脈に囲まれたのどかなまち、南有馬町にトラフグの種苗生産を行っているひとたちがいる。
トラフグの稚魚を育て、養殖業者へ稚魚を出荷している株式会社 FUKUNOTANEが、私たちの食卓へ“おいしい福を届ける”新たな試みに挑戦している。
種苗業を飛び出して、イベント出店や刺し盛りの販売、さらにはオンラインショップへ出品する株式会社 FUKUNOTANEの内側に迫る。
株式会社 FUKUNOTANEの、ふくのたね.
2024年4月、株式会社 FUKUNOTANEから、商品ブランド“ふくのたね.”が誕生した。
ロゴとなった円相とは、図形の丸を一筆で書き上げたもので、始まりも終わりもなく途切れることなく循環する、つながりのある、究極の形などといった意味を持つ。
トラフグを親魚まで育て、さらにその親魚が出産し、また新たなトラフグを育てるという循環した流れで養殖を行っている株式会社 FUKUNOTANEにぴったりのロゴだ。
代表取締役を務める河原 邦昌さん(以下、河原さん)の誕生日が9月9日で、円相の形に似ているのもこのロゴに決まった大きな理由だ。というのは、半分冗談で半分本当。数字の9は、完成を示す数字で、万事何事も上手くいくといった意味を持つ。
“すべてがまあるくおさまりますように” そんな河原さんの想いが込められている。
円相は、字書き屋の佐藤 鳳水先生に何度も何度も書いていただいた。
いつか”ふくのたね.”のロゴの誕生についても詳しくお話ししたい。
海のおいしいを伝えたい
ふくのたね.では、自社の養殖場で育てたトラフグやヒラメを、併設する加工場で調理・加工し、販売している。
職人が丁寧に引いた『トラフグのてっさ』や、藁でスモークされた香りと食感がたまらない『たたき』は、何人でも、どんな食事の会でも食べやすいよう小皿から大皿まで。
『トラフグの唐揚げ』と『ヒラメのフライ』は、子どもでも食べやすいよう手作業で魚の骨を抜き、衣をつけた状態でお渡しする。あとご家庭で揚げるだけの、お役立ち商品だ。
ふくのたね.の商品はすべてDIPSという特殊な機械を使用し、-20度で急速冷凍加工を施す。これにより、解凍しても生鮮品と遜色ない鮮度で、遠方まで商品を届けることができている。
「気軽にトラフグを食べてほしい。」と話す河原さんは、大学で水産業界や養殖業界に進む仲間たちのなかには釣りが好きな人も多いなか、どちらかといえば食べる方が好きだったという。
魚を食べることが好きだった学生時代も、トラフグのてっさや刺し盛りなどを販売するようになった現在に繋がっているに違いない。
柔軟な発想と行動力が生む新商品
また、河原さんはトラフグやヒラメの新しい食べ方を提案。
トラフグやヒラメの刺身には、ポン酢や紅葉おろしをつけて食べるのが一般的だろう。
河原さんは根っからの水産業界人。“何かをかけるなんて邪道。素材の味が一番!”と言われてもおかしくはないが、「魚と抜群に相性が良いオリーブオイルがある。」と新しい気づきを教えてくれた。
チリのレイダバレー産 DELEYDA というエクストラバージンオリーブオイルだ。
着色料や保存料を一切使用しない100%天然製品であるDELEYDAは、数々の賞を受賞しており、香りだけでも他のオリーブオイルとの違いは明確で、そのまま食べても美味しいほど。
そんなに美味しいのならぜひ魚と合わせて食べてみたいところだが、残念ながら日本では販売されていなかった。
そこで、なんと、河原さんはOlivos Ruta del Sol 社 に直接交渉。
河原さんの想いが伝わり、日本で唯一、株式会社 FUKUNOTANEはDELEYDAを取り扱うことの許可を得た。
河原さんの固定概念に捉われない新しい発想と、想いの強さに比例する行動力で、自社で育てているトラフグやヒラメと、魚との相性が抜群のDELEYDAを掛け合わせて新たな商品を開発している。またみなさまに発表できるときまでお楽しみに。
DELEYDAは、エレナ全店舗、公式LINEからお買い求めいただけます。※数量限定
おいしいの笑顔を見たいから
地元のひとたちから、穏やかな波のようにじわじわ認知を得てリピーターも増えてきているのが、刺し盛り。
鮮魚店出身の職人たちが、ひとつひとつ丁寧かつ素早く魚を捌き盛り合わせる。
なかでも、加工場場長の永田 豊さんは、株式会社 FUKUNOTANEに入社する以前、魚屋で働きながら料理店でかつらむきや魚の切り方などを学び、のちに独立して鮮魚店を営んでいた。しかし、猛威をふるった新型コロナウイルスの影響を受け閉店。あと残された人生何をしようかと考えていたころ、河原さんに声をかけられ現在に至る。
永田「今、思うことは、みんなにおいしい魚を食べてほしいと思う。それが基本にもあったから、河原社長からの“加工場をしようと思うんだけど力を貸してくれ”という言葉に惹かれた。力になれるか分からないけれど、でもこの道で行きたいなって。スーパーの店長の話もあったけど、こっちの方が夢があるなと思った。」
そう話してくれた永田さんをはじめとする加工場の職人たちは、よりおいしい状態で食べてもらえるようにと、受け取りの時間に合わせて刺し盛りをつくる。
こだわりと思いやりが詰まった刺し盛りに、「前回注文したときに良かったから。」「このひとが捌いてくれる刺し盛りを食べたいから。」「近くに魚屋さんがないから。」と購入いただいた方から直接ありがたい言葉をいただくことも増えた。
年末年始の刺し盛りは、松・竹・梅・雅の4種類を用意。
自社で育てているトラフグやヒラメをはじめ、7〜13種類の魚が盛られている。
河原さんと永田さんをはじめとする加工場の職人たちで何度も協議を重ねた末、「食べる側としてはこうだと嬉しい。」という想いと、「おいしいトラフグを食べてみてほしい。」という想いが込められた刺し盛りが完成した。
なにより、おいしいの笑顔を見たいから。ふくのたね.の刺し盛りで、団欒のひとときに花を添える。
ひとりひとりの想いが込められた商品を
日々、魚たちにストレスがかからず元気に育つよう、餌の調整や水槽の管理を行っている養殖場のスタッフと留学生たち。
ひとつひとつ丁寧に魚を捌き、盛り付けていく鮮魚店出身の加工場の職人たち。刺し盛りに乗せる魚は、自ら魚が獲れた場所へ足を運び、目を利かせ、厳選している。
河原さんは、販売する商品について、協議を重ねている間にも「まずはみんなに食べてもらいたい。」「みんなに喜んでもらいたい。」と、利益は二の次で、食べてくれるひと、食べるかどうか迷っているひとのことを想う。
福岡県では魚市場、松浦市では養殖関係の会社に勤め、2003年、32歳で有限会社 島原種苗(現在の株式会社 FUKUNOTANE)を創業した河原さん。
養殖のプロが踏み出す新たな一歩。
商品開発といういままで経験したことのない領域に、不器用ながらも一生懸命に、食べてくれるひとたちのことを想って、みなさまのもとへおいしい福を届けます。
会社情報
- 会社名:
- 株式会社 FUKUNOTANE
- 所在地:
- 〒859-2411 長崎県南島原市南有馬町甲1213
- Tel:
- 0957-85-2112
- Website:
- https://www.fukunotane.net/